燐灰石(りんかいせき、apatite)はリン酸塩鉱物の一種。アパタイトとも呼ばれる。天然では火成岩・堆積岩・変成岩の各岩石の副成分をなしており、非常に広く産出される鉱物であるが、経済的に重要なものはリン鉱石の主成分をなすもので、''Phosphate rock'' とよばれる。化学組成の違いによっていくつかの種類があり、単に燐灰石といった場合はフッ素燐灰石(フローロ・アパタイト)をさす。産地としてはミャンマー、スリランカ、ブラジル、マダガスカルなどが有名である。スペイン産の帯黄緑色のものは希少であり、アスパラガス・ストーン(Asparagas stone)と呼ばれる。緑色のものは、モロキサイトとも呼ばれる。
語源
英語の Apatite は、ごまかし,策略を意味するギリシア語の''apate''に由来している。これは、アクアマリン・クリソタイル・紫水晶・蛍石・トルマリンなど他の鉱物と見間違えやすかったためと言われる。(A.G.Werner、1786)
特徴・性質
化学組成は Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)。結晶は六方晶系に属していて、六角柱状、六角板状で産出される。比重 3.1 - 3.2。屈折率 1.632 - 1.646。モース硬度5の基準となる標準物質である。 結晶は透明〜半透明のガラス光沢〜亜樹脂光沢で、緑または褐色が多いが、無色、濃青、紫、白、灰色など様々な色のものが存在する。フッ素燐灰石の場合、本来は無色か白色であるが、燐とカルシウムの一部が別の元素と置き換わることにより、多彩な色に変化する。
種類
・ フッ素燐灰石(fluorapatite)
: Ca5(PO4)3F。天然にもっとも多く産出する。
・ 塩素燐灰石(chlorapatite)
: Ca5(PO4)3Cl。産出は少ない。
・ 水酸燐灰石(hydroxylapatite、ハイドロキシアパタイト)
: Ca5(PO4)3(OH)。脊椎動物の歯や骨を構成する主成分であり、う蝕|虫歯の治療や人工骨など外科医療などに利用されている。
・ 炭酸フッ素燐灰石(carbonate-fluorapatite)
: Ca5(PO4,CO3)3F。
・ 炭酸水酸燐灰石(carbonate-hydroxylapatite)
: Ca5(PO4,CO3)3(OH)。
用途・加工法
透明で大きく色の美しいものは宝石となるが、そのようなものはめったに採ることができないため、小さなものが様々なアクセサリー用に加工されている。天然に数多く産出されるため一般に値段は安いが、硬度が小さいため宝飾品としてはあまり適さない。ただ、美しい輝きをしているため、鉱物標本としては人気が高い。燐灰石の用途として重要なのは化学肥料(リン酸塩)の原料である。また産業用の化学製品の原料にもされる。ハイドロキシアパタイトは歯科医療での歯の充填材料として使用されている。ハイドロキシアパタイトそのものを歯の充填剤に使用することは無い。ごく初期のエナメル質の脱灰現象に対してフルオロアパタイトの中のフッ素が遊離して、エナメル質表面の脱灰部分に結合することが確認されている。
マスコミで誤った報道がなされたことが日本において全国民的な勘違いを生む結果となる。
商標
トルマリンの90倍のマイナスイオンを発するという「イオライト」(Iorite)という商品が販売されているが、某社の登録商標(登録番号:第4851759号)であり、実際は、ブルーアパタイトとカイヤナイト(カヤナイト)の共生したものを使用した製品のことを指している。
「Iorite」で検索すると、菫青石(鉱物名:コーディエライト、宝石名:アイオライト)のスペルミスに行き着くが、無関係である。
関連項目
* 鉱物 - リン酸塩鉱物
参考文献
外部リンク

